田舎と季節のある暮らし  〜あぜ道のある風景2011〜



            
              第5話 日本の端っこでおばさんは叫ぶ

 前回号では温泉に浸かって一息入れてしまいました。英気を養って、また、ひと働き、そうそう緩んでばかりもいられません。
 
東日本大震災から早五ヵ月。皆が復興に踏み出したいのに、足枷をしているのが福島第一原子力発電所。この問題がなければ、悲しい気持ちを抱えながらも、一歩でも前に進めているでしょう。確かに、仮設住宅が間に合わない、町の片付けが進みきれない、それでも放射能という見えない不安要素がなければ、鍬鎌を持つ手にも力が入ろうというものです。
 
出荷された牛からセシウムが検出され、その原因が餌となった稲藁であったと。検査体制の不備、農家の餌管理の問題か。違うでしょう。原発事故がなければ農家の被害は発生していないことです。想定外の地震ゆえの事。違うでしょう。それだけ危険なものを扱い、ましてや自社の利益を追求する以上、危険に対する対応に「想定外」だの「不慮」だのという言葉は、あってはいけないと私は思います。原発事故の終息も見ず、原因検証もされないままに検査中原発の再稼動。追い討ちをかけるように出てきた、九州電力のやらせメール問題。「何やってんだよ。オイ」
 
「必要だから安全です」「原子力発電がないと皆が困る事になるんです」話を挿げ替えてはいけません。「原発がないと電力が足りず、経済成長が失速してしまいます」本当でしょうか。事故後の負の経済状況を私達は今、すでに目の当たりにしてしまっているではありませんか。これを経済の失速と言わずに何を失速と言うのでしょうか。
 
日本の端っこでおばさんは叫びます。「人様の口に入る食を預かる以上、私は原発に反対します」一回の事故で全てが粉々になるのです。後に残るのは、何十年と拭い切れない健康に対する不安です。
 この原稿が紙面に載る頃、福島原発に終息の兆しが見えてきていることを願ってやみません。頑張ろう、福島。

                 農業共済新聞鹿児島版  2011.08.03掲載


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