第11話 インターネット販売
今回はインターネット販売のお話です。
「インターネットで物が売れますか?」と聞かれる事があります。時には「ネットで農産物が売れなんて公の場で言ってもらっては困りますよ」と言われる事もあります。たぶん、ホームページを開設して物が売れなかった経験をお持ちの方かもしれません。
インターネットで農産物は、売れるんです。当農園のネットでの売り上げは、現在全体の約三割、大学生二人分の授業料と家賃を含む生活費に相当するくらいと申し上げておきましょう。
その額を大きいと見るか、たいしたことはないと感じるかは人それぞれでしょう。個人経営のネット販売と法人規模のネット販売とではもう一つ世界が違うかもしれません。
肝心なのはお客様が私達農家に何を望んでいるか、芋だけが欲しくてお取り寄せをするのではなく、農家込みで購入されるのだという事がヒシヒシと伝わる事です。どの情報をどれくらい伝えれば売り上げに繋がるのか、それは「情報を出せば出すほどガバガバ儲かる」と言うのではなくて、ホームページに掲載されている事が、正直に真摯に嘘がないか、取り交わすメールの行間に農家が商売だけの希薄な部分を隠してはいないか、お客様は鋭く、シビアに見ている様子もよくわかります。
昨年は、お客様と交わしたメール、手紙、電話の件数が千五百件を越しました。お問い合わせ、ご注文、発送案内、入金の御礼、それ以外にクレームの対応、たわいないメールでのおしゃべり、畑仕事から上がって夜、経理事務をしながらメール対応に費やします。顔が見えず距離が遠い分、埋めるものは細やかな近況のやり取り、そこから生まれてくる親近感と信頼です。
接客・ホームページに載せる写真の撮影、畑違いな分野がかなり入ってきます。月刊の料理本、ガーデニングや家庭菜園の本にも目を通します。農作業以外の仕事を余計仕事と思うか。これからの農作業と思うか。確かな答えはこれから見えてくるのだと思います。もうしばらく続けてゆこうと思います。
農業共済新聞鹿児島版 2012.2.掲載
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