田舎と季節のある暮らし  〜あぜ道のある風景2011〜




            

 
          第12話 あぜ道のある風景 

 農家のおばちゃんの私は、NHKの連続テレビ小説が好きです。その時のドラマが面白ければ、「よっしゃ!」とエネルギーチャージしてもうひと働き。今放送中の「カーネーション」もテンポがよくて元気が出ます。服のまま転寝はする、酒は飲む、寝顔のままどつく、遠慮容赦ない親子喧嘩。一見がさつですが、家族ががっぷり組み合っていて、我が家では連続ドラマ史上最強の「図太いヒロイン」として人気があります。
 清楚・明るさ・けなげさ、という今までの定義を引っくり返したような力強さは今の日本に一番欲しい生命力あふれるヒロイン像かもしれません。三人の娘達が成長していよいよ四人のヒロインが見せてくれる人間模様が楽しみです。
 昭和がすっかり一つの時代になった今、ドラマを見ながら自分の昭和を振り返るとその昔々、おばの家に遊びに行くと、畑仕事の昼休憩時、おじとおばが地下足袋履きのまま、台所のあがりがまちに腰を伸ばして見ていたテレビ、あれも連続ドラマだったと思います。私がまだ長靴を右左逆に履くくらい小さな頃です。
 畑にはスイカがあったように思うので、夏だったのでしょう。大玉スイカを割ってもらえるのが楽しみで、二人が立ち上がるのが待ち遠しいものでした。「はい、終わったー」とテレビのスイッチを切り、茶籠に漬物だの蒸かした唐芋を手早く詰めていたおば。私はその手にまとわりつく様にぶら下がりながら畑について行くものでした。たぶん、煽てられるとその気になって一人前に働いた気分になっていたと思います。懐かしいあぜ道のある風景です。
 一年間、嫁いでからの事を多く書いてきましたが、私の中で折々顔を覗かせる子どもの頃の野山の記憶。あぜ道はあの頃から今にずっと続いていたのでしょう。
 いよいよ三月を迎えて、私の連載も今回が最後となりました。長い間お読みくださりありがとうございました。声をかけて下さった皆様ありがとうございました。また、どこかでお目にかかれる日を楽しみに筆を置きたいと思います。皆様お元気で!

 


                 農業共済新聞鹿児島版  2012.3.掲載


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